【第3回】
新たな価値提供を目指して
イノベーティブなアイデア発想ができるリサーチ会社もあっていいんじゃないか!?①
■P&Gのイノベーティブなアイデア開発への取組み
いきなり余談から入りますが・・・
P&Gでは、「ニュー・グロース・ファクトリー」という考え方でイノベーションに取り組んでいるそうです。
「ニュー・グロース・ファクトリー」
革新的な製品や事業を連発し、持続的成長を支えるような体系的にイノベーションに取り組む枠組み
(Harvard Business Review October 2011)
●ニュー・グロース・ファクトリーの形成プロセス
・破壊的成長を促すマインドセットと行動を教育
・コア事業から切り離された新事業創出グループを立ち上げ、複数事業にまたがるアイデアを開発するとともに、新しい事業機会も追求。また、「ラーニング・ワークス」 と呼ばれる 消費者調査 を行なう専門チームを設立。
・プロセス・マニュアル作成、デモンストレーションプロジェクトの実施
●4種類のイノベーションの定義
1.持続的イノベーション
既存製品の漸進的改善をもたらす。衣料用洗剤の洗浄力をもう少し高めたり、歯磨き粉の味をさらに良くしたりといった類。「よりよい」「より簡単な」「より安い」便益をもたらす。既存顧客のシェアを維持、製品を試そうとする人を増やす上でも重要。
2.転換的持続的イノベーション
既存の製品やサービスのカテゴリーを再編成する。桁違いに業績を改善し、事業を抜本的に変化させ、市場シェア、利益水準、消費者受容度を飛躍的に向上させる。(ex.しわ取りクリーム)
3.破壊的イノベーション
これまでにないビジネスチャンスを得る。(ex.ファブリーズ)
4.コマーシャルイノベーション
創造的なマーケティング、パッケージ、プロモーションのアプローチによって、既存の製品やサービスを成長させる。
ただし、上記2,3に比べると持続性は限定的。
P&Gでは、全社戦略、事業戦略、そしてイノベーション戦略を明確に定義し、それに合わせて組織も構築しているようですね。その中で、消費者調査をイノベーションの一つの重要なツールとして位置付けているところが参考になります。
■そもそもイノベーションに必要なことって何?
では、イノベーションには何が必要なのでしょうか?
色々書籍を読んでいくにつれ、次の 4つ ではないか、という思いに至りました。
1.現状に異議を唱える姿勢 (を持った人材)
大前提として、既成概念から脱却できること。
2.4つの行動的スキル 質問力/観察力/ネットワーク力/実験力 (を持った人材)
ここには、自ら積極的に様々な分野の人に関わり情報に触れる、様々な分野の現場(製造現場/販売現場/消費・使用現場/くらし現場等)を体験する、プロトタイプが出来れば取り敢えず試してみる、という要素が含まれているようです。そして…
①
日常の中で、情報・体験をストックしておく
②
アイデア開発プロジェクトの中で、イノベーションの肝となる情報へ到達できる
ことが求められてます。
3.認知的スキル 関連付ける思考 (を持った人材)
「アイデアは、アイデアとアイデアの組み合わせでしかない」と言われます。上記2の「①ストックされた情報」、「②アイデア開発段階で到達した情報」、これら情報と情報を“受粉”させることが、イノベーションを可能にするとのこと。
4.上記1~3に関連する能力を養成するための人材育成プログラム
全てのスタートは“人材育成”ですね。そのためには“プログラム”が必要です。
そのプログラムにのっとって育成すれば、程度の差はあれ、誰でもクリエイティビティは必ず高められると言われています。
■リサーチの出番はどこに?
では、リサーチはどこに寄与するのか?
上記の「2.4つの行動的スキル」の中の「質問力/観察力」当たりからリサーチの香りが漂ってきます。
そして、イノベーティブなアイデア発想に繋げるためには、定型化されていない エスノグラフィー的なアプローチ が重宝されるのではないでしょうか。
それは何故? そこら辺は次回に。。。
(【第4回】 新たな価値提供を目指して イノベーティブなアイデア発想ができるリサーチ会社もあっていいんじゃないか!?② につづく)
(立田)