“モノが売れない”と言われて久しい昨今。
企業の製品開発や生産能力は次第に均一化され、同じ水準での競争が展開されつつあります。
このような状況下で供給される製品・サービスは差別化がますます困難になり、顧客側からみても、
本質的な部分で違いを見出しにくくなっています。
このような「コモディティ化」した市場に、マーケティング的にいかに対応するかということが、
多くの企業が直面している非常に重要な課題となっています。
市場の同質化により、生活者は商品を選択する際、明確な判断基準を持って購入に至ることは少なくなってきています。
似たような機能特性、似たような価格・・・もはや機能的な訴求に対して、生活者は低関与になっており、
“何となく”“とりあえず”といった理由で購入していることも多くなっています。
こうした“何となく”の生活者の行動は上辺だけを見ていても捉えどころがありません。
なぜそのような行動になったのか・・・その要因を解き明かすには、生活者の心理を探らなければなりません。
マーケティング活動における「顧客理解」とは、「顧客特性」を理解する、ということです。
マーケティングでは、生活者の「特定カテゴリーにおける態度」に、製品開発やプロモーション活動によって、
新しい刺激を提供し、自社に好意的な態度変容・行動を誘発させることを目的とします。
つまり、リサーチによって「顧客を理解」しなければ、
マーケティングは始まらないのです!
対象カテゴリーにおける態度
特定ジャンルにおけるニーズ
特定ジャンルの
ブランド認知構造
●各ブランドの世界観
●各ブランドの価値構造
●各ブランドのポジショニング
様々な情報や経験の蓄積により、
すでに内在しているもの
対象カテゴリーにおける態度
個人特性
●性格・感性・価値観
●知覚感度
●性格態度
●生活欲求
個人を取り巻く環境
●文化
●サブカルチャー
●家族・友人
個人の生物学的な性質を決定する遺伝子
マーケティング刺激
●ユニークな製品特性
●店頭でのパッケージ接触
●店頭での特売、懸賞などの利得誘引型刺激
●テレビCM/チラシなどの広告
●店頭でのPOPなどの知覚刺激
態度変容・態度形成
行 動
生活者心理を理解するためには
1階層化された意識を深く理解する
2階層化されたニーズを理解する
3行動の要因を理解する
ということが必要です。
1階層化された意識を深く理解する
人の気持ちには階層があり、さらに、その各々の領域の上には「蓋」があります。
その複数の蓋が開かない限り、人の気持ちの奥には踏み込めません。
定性調査では“why?”を深く掘っていくことにより、その階層の蓋を丁寧に開けていきます。
出店 : 肥田安弥女、林美和子「定性調査がわかる本」同友館、2008、P19
2階層化されたニーズを理解する
一言に「ニーズ」と言っても、その構造は「機能的ニーズ」「情緒的ニーズ」「生活ニーズ」と階層化されています。
製造・サービスの特性が生活者のどのニーズに響き、
どのように価値化されているのかを構造的に理解しなければなりません。
例えば、チョコレート菓子のニーズといっても、ニーズを階層化してみると多様な気持ちにつながっています
3行動の要因を理解する
生活者の行動には必ず理由があります。どのような特性を持った人にどのようなマーケティング刺激を与えた結果、
どのような反応・行動を起こすのかの因果要因を全体的に理解するには、ひとりの生活者のコンテクスト(ストーリー)
を把握し、その行動の要因を深堀することが重要です。
市場調査社では、生活者心理を構造的に理解できる
「定性調査(デプスインタビュー)」、
行動からその心理を読み解く
「インサイト発展型ホームビジット、簡易ホームビジット、
自宅行動観察調査、店頭観察調査」という
リサーチ商品をお勧めしております。
以下のような質問をすることで、生活者の潜在意識の中にある
自社および競合ブランドに対するイメージ資産を浮き彫りにします。
調査テーマに関連した写真を選んで持ってきてもらい、
なぜその写真を選んだのか、インタビューで深掘りします。
●「顧客のことを第一に考える企業」について、
思うことや感じることをあらわす写真や絵を用意して、
当日持ってきてください」
●「まずこの写真について説明して下さい。
これは何が映っていますか?」
●「どんなところが顧客を第一に考える企業と似ていますか?」
例
新鮮なミニトマトが写っている。
いつも新しいチャレンジをしていて、
瑞々しい印象を与える企業と似ている。
事前に「人生の充実度曲線」を書いてきてもらい、それに基づいてヒアリングを行います。
(縦軸は人生や日常の生活の充実度/幸福度、横軸に年齢を表す)
●あなたのこれまでの人生がどのような感じだったのか、
振り返って、現在に至るまでを表現してみてください。
●その時期の暮らしが最高に充実していたら「100」、
逆に悩んでいたりよくないことがあって
「不幸だ」「輝きゼロ」と感じていれば「0」を意味します。
●それぞれの分岐点で起こったトピックス
(仕事・学業、家庭・家族、生活環境・その他)を、
折れ線の近くにお書きください。
●現在の時点を明記してください。
そしてこれから先の人生の充実度はどのようになりそうか、
を予想してみてください。
●日記
事前に、調査テーマに関わることについて日記を書いてきてもらい、それに基づいてヒアリングを行います。
その場のヒアリングだけでは思い出せない、その時の新鮮な気持ちを記録してもらい、
後から振り返ることで深層心理に迫ります。
●写真
事前に、調査テーマに関わることについて写真を撮ってきてもらい、
それに基づいてヒアリングを行います。
その場のヒアリングだけでは分からない、
対象者の人柄や調査テーマとの付き合い方の理解の補助となります。
●その他
その他にも対象者に事前に、宿題として調査テーマに関わることについて、
記録してもらったり、自分なりに整理して思い出してもらったりすることで、
スムーズにヒアリングを進めることができます。