「立田が、今最も関心を持っていること」4回シリーズ
【第1回】
課題認識①
リサーチという機能がなくなることはないが、リサーチ“業界”は近い将来なくなるかも!?
手前味噌で誠に恐縮ですが、私はリサーチが大好きです。ある種、趣味のような存在で、リサーチの
現場 が楽しくてしょうがなく、そして、やればやるほど 「極めたい!」 という欲求が湧き起こってきます。まぁ、好きなことを職業にできているのは、幸せ者だと思います。
現場 が楽しくてしょうがなく、そして、やればやるほど 「極めたい!」 という欲求が湧き起こってきます。まぁ、好きなことを職業にできているのは、幸せ者だと思います。
では、リサーチの何が好きなのだろう?
自問自答してみたところ、以下のような結論に達しました。
あらゆる情報、例えばマスメディアやマーケティング専門誌から聞こえてくる社会の動き・生活者の動向、書籍から得られるアカデミックな情報、自分が遊びに行った体験、飲み会で知り合いが何気に言った一言、そして、それに加えて
デプスインタビュー での対象者の発言、これらの中から一本の線が紡ぎだされ、一つの解が導き出されたその瞬間。このエクスタシーが忘れられないのです。
デプスインタビュー での対象者の発言、これらの中から一本の線が紡ぎだされ、一つの解が導き出されたその瞬間。このエクスタシーが忘れられないのです。
たまにリサーチ会社に勤めながら、「俺はリサーチには興味ないねん。関心があるのはその先やねん」という方がいらっしゃいますが、この方はリサーチをどう捉えているのだろうか?
もちろん、リサーチは手段であり、その先が大事なことは百も承知!
こういう方ほど、リサーチを「アンケート用紙を集めて、集計して、グラフ化する作業」と、狭~く捉えているように思えてなりません。
こういう方ほど、リサーチを「アンケート用紙を集めて、集計して、グラフ化する作業」と、狭~く捉えているように思えてなりません。
私は、リサーチ会社に勤めながらこういう発言をする人が正直大嫌いです。リサーチを極めてから言えよ、と。
(いつまでたっても極められない私の負け惜しみかもしれませんが…)
ちょっと前置きが長くなりましたが…
副題に「リサーチという機能はなくならない」と書きました。リサーチの本質を突き詰めれば、 「顧客理解」 というところに行き当たると思っています。定量データ/定性データ、行動に関する情報/意識に関する情報、形はどうあれ、それらはすべて
「顧客理解」 を目的とした営みだと思います。
「顧客理解」 を目的とした営みだと思います。
ただし、マーケター/リサーチャーと、顧客とは別の人格です。これだけ価値観の多様化が進んだ現代では、どんなに優れたマーケター/リサーチャーであろうと、そうそう簡単に“顧客を理解する”ことなんてできません。
そこを、対象となる顧客に寄り添い、①顧客が頭の中にイメージしていることを共有し、背景も含めてコンテクストとして理解を試みる。そして、②自分とのズレを認識し、③再度顧客の思いを想像する、そんな難しい行為だと考えます。
これは、モノづくり、そしてコミュニケーションをデザインする際に、まずやらなければならない最も基幹となる部分ではないでしょうか。リサーチがその役目を担う限りは、世の中にリサーチというものは存在し続けると思われます。
一方、現在リサーチ業界には多種多様な企業が存在します。
例えば、大手企業を中心に…
- パネルデータの提供
- 視聴率データの提供
- WEBアンケートシステムの提供
などを行っているリサーチ会社があります。これらは、クライアントである企業様が自社で個別にシステムを構築するには余りにもコストがかかります。どこかがまとめて行う方が断然効率的ですよね。
こういうケースでは、システムor情報を提供しているリサーチ会社は存在価値が薄れることはないでしょう。(企業間競争での個別企業の生き残りは別にして)
では、これら装置を持たないリサーチ会社はどうか。
上記のような「システム(機能)」、そこから得られる「情報」をお客さま自身が使いこなされたとすれば、「その他のリサーチ会社」は、何の価値をご提供すればよいのか?
- 効率的な集計、グラフ作りの工程管理?
- 効率的な実査管理?
- 対象者リクルート?
- 専門会社ならではの仮説構築?
- 新しい調査手法、分析手法のご提案?
- ストラテジック・プランニング?
- はたまた、また別の価値?
お客さまはいったいどんな価値を求められているのだろう?
明確な解を持ち合せていなければ、「その他のリサーチ会社」の存在価値は著しく低下してしまいます。
(【第2回】 課題認識 自社も含めた“守旧派”のリサーチ会社が、お客さまに提供すべき価値とは!?
につづく)
(立田)