先日から娘用の電子ピアノ探しを始めました。
どんなメーカーが出しているのかすらよく知りませんでしたが、さっそく店頭で説明を聞きます。
「この機種とこの機種の価格差はなぜ?同時発音数ってなんですか?」
私の質問はこんな感じで価格とスペックの整合性を理解するためのもの。
当然です。高くなるほど何らかの付加価値があるはずで、それを理解せずしてなぜ選べるか。
一方、一緒に行った嫁さんの質問はというと
「蓋はフラットにしまるの?蓋の蝶番がないタイプは?楽譜はどこにおくの?」
別に蓋の形状なんてどうでもいいし、楽譜立てもまさか後ろや横に置くわけでもあるまいし。
普通、確認すべきはスペックでしょう!
■女性特有の視点
そんなピアノ探しのさなかに、ちょうど『彼女はなぜ「それ」を選ぶのか?: 世界で売れる秘密』(パコ・アンダーヒル 早川書房)を読みました。
「21世紀は女性の時代」とし、女性をターゲットにする必然性とともに、女性が重視する視点を紹介しています。
「やっぱりターゲットは女性だね」という話は、リサーチをしているとしばしば耳にするものです。
あわせて、男性は機能価値、女性は情緒価値なんて話も、やはりしばしば耳にしますが、
本書では女性に対するキーワードとして「清潔」「調節」「安全」「思いやり」があげられています。
そういえば、先日の店頭を振り返ってみると・・・
「清潔」:展示処分品は最初からNG!
「調節」:蓋を閉じてフラットな状態にできると普段もすっきり見える。
「安全」:折り畳み式の蓋では指をつめる可能性がある。
「思いやり」:楽譜は厚いものが多いからしっかりした楽譜立てでないと安定しない。
これらの主張が正しいかどうかは置いておいて、キーワード、言い得て妙な気もします。
ちなみに、本書では「女性向けは男性にも好まれる」とも主張されています。
■違いを理解するためには
普段から、相手の立場に立って考えるとはよく言われることではありますが、どうしても自分の主観に引っ張られがちです。
そんな主観を除いてくれるのは定量調査のデータです。
たとえば「折り畳みではない蓋を望む人の割合」や「楽譜立てを重視する人の割合」は量的に検証が可能です。
ひょっとすると男女で傾向が異なり、より女性でこのようなニーズが多いことがわかるかもしれません。
ただし事前に“これらの選択肢を入れることができれば”の話ですが。
さらには“なぜそのような差が出るのか”についての仮説がなければ理由を検証する次の質問にはつながりません。
そして、深く理由を理解するときに活用されるのが定性調査です。
本書では「男女には違いがある」ということに加え「違いが出る理由」について、
前述の4つのキーワードを絡め、様々な事例を通して、主に定性的な切り口で紹介されています。
「そんなところが気になるんだ」と、女性の考え方に触れる視点で読むのももちろん面白いと思いますし、「理由を理解」する定性的なアプローチやその考え方に触れる、そんな視点で読んでいくのもまた面白いと思います。
■ピアノは・・・
そしてまさに昨日、我が家にピアノが到着しました。
もちろん4つのキーワードをすべてクリアした一品です。
今回の買い物に触発されて、ここはひとつ自分も・・・と、楽譜を買ってしまいました。
娘と一緒にチューリップを学ぶ気など毛頭ありません。選んだのは「情熱大陸」のテーマ。
どうせ無理だと思われていることを十二分に感じるにつけ、弾けるようになってやると燃え上がる闘志。
次回の私のブログには、動画でその勇姿をお見せしたいものです。
(安部)