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大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
日常生活でスタッフが感じたことや、弊社のサービスの紹介をしていきます。

ピアノの蓋の形状が気になりますか?(安部)2012年3月26日 月曜日

■なぜそれが気になるの?
先日から娘用の電子ピアノ探しを始めました。
どんなメーカーが出しているのかすらよく知りませんでしたが、さっそく店頭で説明を聞きます。

「この機種とこの機種の価格差はなぜ?同時発音数ってなんですか?」
私の質問はこんな感じで価格とスペックの整合性を理解するためのもの。
当然です。高くなるほど何らかの付加価値があるはずで、それを理解せずしてなぜ選べるか。

一方、一緒に行った嫁さんの質問はというと
「蓋はフラットにしまるの?蓋の蝶番がないタイプは?楽譜はどこにおくの?」
別に蓋の形状なんてどうでもいいし、楽譜立てもまさか後ろや横に置くわけでもあるまいし。
普通、確認すべきはスペックでしょう!

■女性特有の視点
そんなピアノ探しのさなかに、ちょうど『彼女はなぜ「それ」を選ぶのか?: 世界で売れる秘密』(パコ・アンダーヒル 早川書房)を読みました。

著者はリサーチの世界的な第一人者で、本書のテーマはズバリ「女性に選んでもらうために何を心がける必要があるか」。
「21世紀は女性の時代」とし、女性をターゲットにする必然性とともに、女性が重視する視点を紹介しています。

「やっぱりターゲットは女性だね」という話は、リサーチをしているとしばしば耳にするものです。
あわせて、男性は機能価値、女性は情緒価値なんて話も、やはりしばしば耳にしますが、
本書では女性に対するキーワードとして「清潔」「調節」「安全」「思いやり」があげられています。

そういえば、先日の店頭を振り返ってみると・・・
「清潔」:展示処分品は最初からNG!
「調節」:蓋を閉じてフラットな状態にできると普段もすっきり見える。
「安全」:折り畳み式の蓋では指をつめる可能性がある。
「思いやり」:楽譜は厚いものが多いからしっかりした楽譜立てでないと安定しない。

これらの主張が正しいかどうかは置いておいて、キーワード、言い得て妙な気もします。
ちなみに、本書では「女性向けは男性にも好まれる」とも主張されています。

■違いを理解するためには
普段から、相手の立場に立って考えるとはよく言われることではありますが、どうしても自分の主観に引っ張られがちです。
そんな主観を除いてくれるのは定量調査のデータです。
たとえば「折り畳みではない蓋を望む人の割合」や「楽譜立てを重視する人の割合」は量的に検証が可能です。
ひょっとすると男女で傾向が異なり、より女性でこのようなニーズが多いことがわかるかもしれません。

ただし事前に“これらの選択肢を入れることができれば”の話ですが。
さらには“なぜそのような差が出るのか”についての仮説がなければ理由を検証する次の質問にはつながりません。
そして、深く理由を理解するときに活用されるのが定性調査です。

本書では「男女には違いがある」ということに加え「違いが出る理由」について、
前述の4つのキーワードを絡め、様々な事例を通して、主に定性的な切り口で紹介されています。
「そんなところが気になるんだ」と、女性の考え方に触れる視点で読むのももちろん面白いと思いますし、「理由を理解」する定性的なアプローチやその考え方に触れる、そんな視点で読んでいくのもまた面白いと思います。

■ピアノは・・・
そしてまさに昨日、我が家にピアノが到着しました。
もちろん4つのキーワードをすべてクリアした一品です。

何かにつけて熱しやすく冷めやすい、3日坊主もいいところの私ですが、
今回の買い物に触発されて、ここはひとつ自分も・・・と、楽譜を買ってしまいました。
娘と一緒にチューリップを学ぶ気など毛頭ありません。選んだのは「情熱大陸」のテーマ。
どうせ無理だと思われていることを十二分に感じるにつけ、弾けるようになってやると燃え上がる闘志。
次回の私のブログには、動画でその勇姿をお見せしたいものです。

(安部)

感情マーケティング(浜本)2012年2月28日 火曜日

 
先日、大規模な定性調査を担当させて頂く機会があり、勿論リサーチ結果をここでお話しさせて頂くことは守秘義務上できないのですが、過去に社内である文献についてみんなでまとめた結果に類似している点があり、リサーチの経験からその理論の正当性を肌で感じることができました。
アルジュン・チョードリー著の「感情マーケティング」
この文献をまとめることになった経緯としては、

市場のコモディティ化とともに、経験価値創造やブランド構築が企業にとっての重要課題となっている。ところが、経験価値やブランドを追い求める消費者の理解において鍵となる感情問題は、これまでマーケティングにおいてほとんど論じられていなかった。研究の題材とした「感情マーケティング」は、消費者による製品選択や広告メッセージについての処理などにおける感情的動機と理性的動機を記述したものである。
さらに、これらの動機的要因がブランド・ロイヤルティ、市場シェア、高価格マージンなどのマーケティング成果に与える影響を示している。

この文献から得られた知見を要約すると、

様々なマーケティング活動において、「感情(ポジティブな感情)」を高めること=情緒的価値を高めることで、商品に対する「知覚リスク」が軽減したり、コミットメントが高まる。
結果、「プレミアム価格」、高価格でも支払いたいというブランド成果を得ることができる。
マーケティング戦略を策定する際に、「情緒的価値」を高める戦術がインプリケーションされておく必要がある。

以下が、本文で書かれてあった「ブランドの態度形成過程をモデル化(図示)」した内容です。

私が担当させて頂いた調査においても、同様の示唆が得られており、普段の生活を振り返ってみても、、、
例えば、私は「ファション」に関してはとても疎く、夏は涼しく、冬は暖かい、ビジネス上では奇をてらわないといった最低限の基準(機能性)を満たしさえすれば、どんな服でもよいのです。
なので、ファッション(私にとっては単なる衣服)にはお金をかけません。
一方、過去にもこのブログで触れている「通信端末(ケータイ・スマートフォン)」にはお金に糸目をつけません。なぜなら通信端末は、私に日々、様々な情報を昼夜を問わず提供してくれ、疎遠になりかけていた旧友との繋がりの場を提供してくれ、スケジュールの管理までしてくれる。まさに、私にとっては「ドラえもん」に近い存在なのです。ここで得られる価値は情緒に溢れています。
人によっては「服」を「ファッション(自分をよりよく魅せてくれるモノ)」、一方で「通信機器」を「高機能な糸電話(単なる道具)」と、私とは真逆に捉えている方も多く存在しています。
これは、各個人にとって機能的な満足が得られるのか、それとも情緒的な満足が得られたるのかによって、その商品やサービスの見方、扱いそのものが変わってしまうという例です。
商品やサービスを提供する企業の視点では「機能的価値」を高めるコミュニケーションよりは「情緒的価値」が得られるようなコミュニケーションを実施していく必要があるということになります。
だって、同じ商品やサービスでも選択されることが多くなったり、プレミアムな価格でも受け入れられるということに繋がるのだから。
ここから更に思ったことは、これは有形の商品やサービスに限られたことではなくて、「ヒト」そのものにも言えることではないかということです。
「仕事が早い」「正確だ」といった評価を得られることは非常に重要なことだと思うが、「任せて安心」「とにかく頼れる」といった情緒的な側面での評価を得られる人になりたいと思う今日この頃。
だって、この情緒的な側面での評価を得られることで「指名がかかり」「高く買って貰える」のだから(笑)。
(浜本)

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