最近はSNSでも多いですね。結果を見たければクリックしてね、というパターン。
曰く
・年収1000万円以上の人の●●割は▲▲をしている!
・実はやめてほしい!上司が良かれと思ってしてしまっているNGなことTOP5!
・実は●割のOLが職場の▲に否定的だった!
などなど。
それぞれ興味深くもあり、その結果も楽しく見られるのではありますが、
それは「読み物」としてに限定される場合も多いです。
『渋谷を歩く若者30人に聞いた結果です!驚くことに最近の若者のマナー意識は・・・』となると、もちろんこの結果を持って日本の若者全体を語ることができないことは明らかです。
これは至極当たり前のことのように思えます。
そもそもこのようなアンケートって「読み物」でしょと、割り切っている方もいるかもしれません。
でも、より公的なデータにおいても、おかしな結果が世の中に出回っている、ということを事例とともに解説しているのが以下の本です。
◆「社会調査」のウソ ― リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)
2000/6 谷岡 一郎 (著)
社会調査論を専門とする著者は「社会調査の過半数はゴミだ」と言いきります。
そして、具体的にマスコミ報道や研究論文等の事例を上げて、なぜゴミと言うのかを解説しています。
なるほど、権威ある機関から公表されている結果ほど、知らず知らずのうちに盲目的に(前提をあまり考慮せずに)信じ込んでいる自分がいることに気付かされます。
調査結果のバイアス(結果を実態から歪めてしまうもの)として、本著では
・人の記憶の限界
・見せかけの相関
・リサーチ・デザインの問題
・誘導的質問
・サンプリング
などなどが挙げられています。
いずれも実際のリサーチでも注意しなくてはならない代表的なバイアスですが、社会調査にはさまざまなバイアスが介在する余地がある中で、それを前提として、できるだけ「真実」に迫る工夫と努力を行うもの、ともいえるかと思います。
私の好きな言葉の一つに
「調査結果の真実は“その質問に対して対象者がそのように答えた”ということのみである」というものがあります。
つまりは調査結果は「対象者が過去にそのような行動を行なった」とか、「今そのように感じている」とか、「今後そのような行動をする」という真実とは必ずしも一致しないということです。
ここだけを見ると身も蓋もありませんが、だからこそできるだけバイアスのない結果を入手し、「なぜこの質問にこう答えたのか?」について考察する意義があるとも言えます。
いろいろな情報が氾濫し、簡単に大量サンプルの調査結果にアクセスできる今だからこそ、「調査結果を正しく見る」ことへの意識は強めて行く必要があると思います。
(と言いながらも、根も葉もない占いなんかにも影響を受けてしまう自分が不思議なのですが!)
(安部)