大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
日常生活でスタッフが感じたことや、弊社のサービスの紹介をしていきます。
「五感」というコトバは、頻繁ではないものの、皆さんそれなりに使っていませんか。
かくいう私も、56年の人生で100回くらいは使ってると思います、いや、もっとか?
「五感」という、何気なく使っていて、何気なく分かっているつもりでいたコトバの意味をこの度、改めて辞書で引いてみました。
①視・聴・嗅・味・触の五つの感覚。
②感覚の総称。
あら!?
①の意しか知らなかった・・・。
あくまで、「視・聴・嗅・味・触」の五つの感覚にまつわる時にしか、このコトバを使ってはいけないと思い込んでた。
しかし、②の意があるのであれば、五つの感覚以外においても、「五感」を使ってよいことになる。
そうなのね。
実は、①の意だけと思い込んでいたので、今まで自主規制して「五感」というコトバで表現してこなかった思い出があるのです。
ただ、「広義の五感」であれば問題なさそうなので、今日はその思い出話をしてみたいと思います。
また、いつものように無駄に長いので、お忙しい方は読み飛ばしてくださいませ。
※ネタバレ注意※
今後、ロケットの打ち上げを見学予定の方はネタバレの懸念がありますので、このブログは読み飛ばしてください。
さて、先日、あるクライアントさんの案件で、弊社代表の立田と二人で、鹿児島空港に降り立ちました。
空港を出てふと見渡すと、懐かしい建物が!
「うわー、何年振りやろ?風輝(ふうき、うちの息子です)が小1やったから16年前か・・・」
2007年4月。
福岡赴任3年目を迎えた2007年4月、ふうきは小学生になりました。
今でこそ180㎝を越えて、偉大(?)なる父を見下ろすようになりましたが、
この頃のふうきは背も低く、まだまだあどけなさを残す幼な子でした。
彼が小学校初めての「夏休み」に入ろうとしていた7月頃、あるニュースに目がとまりました。
【国産H‐ⅡAロケット「かぐや」、種子島宇宙センターから8月16日打ち上げ決定。初の打ち上げ民間移管】
要は、これまでJAXAという国家機関が担っていたロケット事業について、製造だけでなく打ち上げまでをも民間に移管する初のプロジェクトとのことでした。
ちなみに、月を目指すので「かぐや」に命名されたらしいです。
打ち上げの民間移管がどれほど凄いことなのか今だに理解できていませんが、当時の私は単純に、「ロケットの打ち上げ、リアルで見てみたい!今なら種子島近いし」と、短絡的に思いました。
なお、当時のふうきは、トミカのミニカーに夢中で、テールランプとかほんの一部を見せただけで「セリカXX」とかって答えられるトミカオタクの乗り物好きに育っていました。
「どうせなら、乗り物好きのふうきにも見せてあげたい!」
と、さらに短絡的に思いました。
しかも、おあつらえむきに夏休みやん。
奥さんも夏休みの思い出にええんちゃうと快諾。本人ももちろん大喜び!
「ロケット見学男旅」決定です!
当時、福岡空港から種子島空港へは直行便が無く、福岡空港から鹿児島空港でトランジットしてエアコミュータに乗り換えて、種子島空港へ向かう必要がありました。
また、打ち上げ自体は8月16日なのですが、打ち上げ時間にちょうどよい乗継便が無かったので、15日のうちに鹿児島に入り、空港周辺で1泊して、翌朝一番の種子島行きに乗ることにしました。
察しの良い方ならお気づきかと思いますが、その際、私たちが宿泊したのが冒頭にお話しした「鹿児島空港ホテル」だったということです。
さて奥さんの快諾も得られたし、エアーでも押さえようかと予約サイトにアクセスしましたが、かろうじて2席確保できた感じでした。残席はほんの僅か。
なんでこんなローカル線が混んでんの?と最初は謎でしたが、すぐに解けました。
初の民間打ち上げと言うことで、打ち上げ担当の三菱重工業の関係者、JAXA職員、国交省・文科省など関係省庁のキャリア、さらに我々のような見物客、世界中からフリークが集まります。
元々席数の少ないローカル線の椅子取りゲームは過酷と言うことですね。
ま、打ち上げ決定の報道を見て早めに動いたので何とか確保できたと安堵。
あとは男旅の出発当日を待つばかり。
安堵したのも束の間、その後、本当に苦労しました。
紙面の関係(ギネスの反省?)で詳細は省略しますが、ロケット打ち上げって、
予定がまあコロコロ変わる変わる。
やれ、整備不良が見つかったので打ち上げ延期とか、やれ天候不良でまたまた延期とか。
結局、4回ほど、延期が繰り返されました。
そのたびに、数少ない椅子取りゲームを勝ち抜かねばなりません。
1回目の変更、2回目の変更は確保できたのですが、3回目の変更の際に遂に、
席を確保できない事態に陥り、男旅を断念せざるを得ない状況に追い込まれました。
ふうきの楽しみにしていた顔を思い出すと、なんともやり切れず、「神様なんていないのね!」とかって腐っていました。
しかし、なんと我々が取れなかった日程も「整備不良のためさらに9月14日に延期」との報道が出て、即座にリスケ日程で今度こそ座席を押さえることが出来ました。
「神様はいるのね!」と改心した次第です。
しかし、ここで「ちょっと待てよ」と。
9月14日?
おいおい、夏休み終わっとるやん!
どきどきしながら、9月14日は?とカレンダーをめくると、なんと金曜日の平日。
前泊と言うことは、木曜から出発。
うーん、木曜の鹿児島入りまでは学校終わってでも間に合うけど、さすがに打ち上げ当日の金曜は学校を休ませねばならない。
いまでこそ、愛知県が始めた「ラーケーション」みたいに「学習(ラーニング)と休暇(バケーション)」で、学校を平日休んでも問題ない時代になりましたが、当時は、「社会見学」であっても、学校を休ませるなんてけしからん、といった風潮が残るころです。
どうしよっかなあ?学校はどうでもいいけど、最大の難関である奥さんになんて言おうかなあ?
最悪俺だけでも行きたいけど、一度は息子も連れて行こうって決まってた以上、後ろ髪ひかれるなあ、などと悶々としていました。
悩んだ挙句、最後は、あるクレジットカード会社の「お金で買えない価値がある」という当時のCMコピーに背中を押してもらい、奥さんに相談してみました。
すると、奥さん「ええんちゃう?連れてってやったら♪」
あら?拍子抜け。ま、案ずるより産むが易しってことですかね。
ま、これで晴れて、「ロケット見学男旅」が正真正銘、確定しました!
その後、リスケに見舞われることもなく、いよいよ我々はロケット見学男旅に出発したのでした。
種子島宇宙センターは、総面積約970万平方メートルにもおよぶ日本最大のロケット発射場です。
ロケットの打上げ当日は、種子島宇宙センター全域と、打ち上げ地点である射点を中心とした半径3km以内は立ち入り禁止となります。
これは、周辺の安全性確保と、ロケット技術を他国の軍事転用から守る隔離措置らしいです。
我々は、いくつかある見学スポットの中でも、射点から6㎞離れた一番ポピュラーとされる「長谷展望公園」に陣取りました。
現場にはずいぶん早めに着いたのですが、すでに多くの人が集まっていました。
半分くらいが欧米人です。この人たちは、世界中の打ち上げを見て回っていて、種子島にも1か月単位で滞在し、ゆったり構えて打ち上げを楽しみながら待ち続けているフリークらしいです。
分刻みで旅するあくせくした日本人にはない悠久的な思考・行動がうらやましく感じられました。
打ち上げ180秒前からJAXAによるカウントダウンが始まります。
ちょっとしたDJ風で、ギャラリーたちのボルテージを上げていきます。
そのカウントダウンがいよいよ10秒前を知らせます。
さすがに小1でも理解できるらしく、ふうきも緊張しながら紅潮して直立したままその時を待ちます。
サンッ!
ニーッ!
イチッ!
ゼロ~~~!!!
すると、射点からすごい白煙。何かが爆発したような、モクモクと白煙が膨らんでいきます。
も、もしや打ち上げ失敗?ロケットが地上で爆発?
すると、その白煙の中から、何かが、ひょろひょろひょろ~って上にあがっていきます・・・
サイズ感で言うとマッチ棒のような、あるいはロケット鉛筆の1段目みたいなものが、ひょろひょろひょろ~って上に上がっていきます。
何の演出もなく、感慨もなく、ただただ、ひょろひょろひょろ~って上がっていくだけ・・・
えっ、たったこれだけ?あれれ?
ここまであんだけ苦労して、なんども予約取り直して?
一度はあきらめたのに、神のご加護で取り直せたのに?
前泊までして?
ラーケーションなんて無いころに、学校まで休ませて?
こんなんだったら、おうちでビールでも飲みながらNHKで打ち上げの実況見てた方が良かった。
苦労もせずに、よっぽど大きくアップで見れたのに。
ふうきも、つまんなさそう。
なにしてんねやろ・・・
苦労報われず・・・。
失望、脱力、後悔、喪失・・・、色々な感情がこみあげてきていました。
しかし、その17秒後、
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~」
って今まで聞いたことが無いような轟音が、地鳴りのように鳴り響く。
とっさに身をすくめ固まるふうき。私も何が起きたかさっぱり分からない。
数秒後に、「おー、これは雷と同じではないか!」と気付きました。
子供のころ、雷が「ぴかっ」と光ってから、音がするまでの秒数を数えませんでしたか?
1秒後に音を聞いたら340メートル先に落ちた。10秒後なら3.4㎞先だなみたいな。
あれと同じです。
秒速340メートルの「音波」が、17秒かけて6㎞離れた我々に轟音を運んできたのでした。
そうそう、「光速」と「音速」にはギャップがあるのよね。久しぶりに思い出したわ。
音は遅れてくるものよね。
頭では分かっていたけど、現実社会で6㎞先の「音」が届くなんてことめったにないから、すっかり忘れてたわ。
いやあ、これで来た甲斐あったなと大満足!
その後、ほけーっと数分間、空に舞い上がる、かぐやを眺めながら、やはり現場って大事だな。
光(視覚)と、音(聴覚)のスピードの違いを五感で感じとる。
素晴らしい経験だ!これこそ生きた教育だ!私はなんてすばらしい贈り物を息子にしたのか!
そんな感慨にふけって打ち上げから4分くらい経過したころ、そろそろ十分満足したし、ふうきも飽きてきた様子なので、そろそろ帰ろっかと持ち掛けようとした、その瞬間でした。
「ばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさ~」
立っていられない衝撃に全身が襲われます。
先ほどの轟音と比べ物にならないほどに、カラダが持っていかれるようなものすごい「圧」。
実際、ふうきは身体が後ろずさりしています。
またまた、何が起きたのか分からない。
ケンシロウが、攻撃を受けて仁王立ちで必死でこらえながら立ち尽くしている感じ
しばらくして、「圧」の正体が、やっと分かりました。
なんと、ロケットを打ち上げる際に発生する「爆風」だったのでした。
「風速」は、光速・音速と比べ圧倒的に遅いので、4分のタイムラグを開けて、6㎞離れた我々に届いたということでした。
それにしても、ものすごい暴風。今まで経験したどの台風よりもすごい。
そして、このタイムラグが意表を突きます。まったく無防備でした。
時速
光速:時速10億7900万km(宇宙を移動する物質の中で最も速い)
音速:時速1225km(旅客機が時速900㎞くらい)
風速:非常に強い風でも時速90km(小学生のピッチャーの平均くらい)
6㎞先に到達する時間
光:0.00002秒後
音:17.633秒後
風:240秒後
知識としては理解しているが、現場にいないと実感できないコトもあるんだな。
テレビやネットを使えば、なんでも分かったような気でいるけど、実際のゲンバにいるからこそ感じられるものってあるな、これは家では経験できない、まさに
「お金で買えない価値」だなとつくづく思いました。(マスターカードさん、さすが!)
「目」で見て、「耳」で聞いて、「全身」で風を感じて!
【五感】と呼ぶには、「風を感じて」が邪魔なので、これまで自主規制してきましたが、今日辞書を引いて「②感覚の総称」としても使ってよいと分かったので、これからは胸を張って言える。
ライブはいい!リアルはいい!バーチャルにはない【五感】で感じ取れる!
バーチャルやAIなんかがもてはやされて、それこそが未来のように語られるが、
【五感】で感じる、【五感】を磨く、これこそが贅沢だと感じた打ち上げ見学体験でした。
これからAIが目覚ましく発達し、その恩恵を喜んで享受したいと思っていますが、一方で、このような【五感】も大切に、【生きて】いきたいなと思いました。
いつもながら、長々とした駄文にお付き合いくださり、ありがとうございました!
石倉
後記)
ちなみに、このブログを書き終わって最後に読み返していたんですが、風圧って、「触覚」なので、元々、「①視・聴・嗅・味・触の五つの感覚」の意にばっちり含まれていますね。
自主規制するまでもなく、【五感】ってコトバを使っててもよかったんだなと、今さら気付きました・・・。
このブログの背骨を根底から揺るがす事態なのですが、今さら書き直す元気はないので、このまま終わりにしたいと思います。
雑味な読後感を与えてしまい失礼しました・・・。
ちょっとしたきっかけから習慣化することがあるものです。
私の場合、それはアイロンがけでした。
6年程前から突然、習慣化したのです。
きっかけは、ハンカチを1枚買ったことでした。
黄色いガーベラの花が1輪、面いっぱいに描かれた、薄手の黄色い縁取りのハンカチ。
1人で行った東京旅行で見つけ、「うわーきれいー、ステキな大人が持ってそうなやつやーほしい」と思ったものの、ハンカチ1枚で3000円。
当時、市場調査社に入ってまだ1年生だった私は東京の価格にびびり、その時は買わなかったものの、ステキな大人のハンカチイメージは私の脳裏に残り続け、そして1年後の東京旅行。結局、私はそのハンカチを家に連れて帰ってきたのでした。
きれいなハンカチー♪ルンルン♪
と上機嫌で使った次の日、土曜の昼。
ベランダに吊るされた洗濯後のハンカチを見ると、細かいシワがあちこちに…
黄色い花はヨレヨレで、押し花のよう。
これは…そのままではとても使えない。ステキな大人感ゼロだ。
「仕方ない。アイロンかけるか」
ちなみに、これまでハンカチは持っていても、アイロンがけはしていませんでした。
それでも、厚手のハンカチやタオルハンカチだったので、あまり気にならなかったのですが、今回買ったものは薄手なので、シワが目立ったのです。
押し入れからアイロンとアイロン台を引っ張り出した時間を入れても、5分程度だったと思います。押し花状態だったハンカチは、ショップで見たときの姿を取り戻しました。
ホッとしつつ、これは使ったら毎回アイロンか…と若干面倒くささを感じながら、ハンカチが入っているケースに戻そうとしてびっくり。
他のハンカチがくたくたに見える…!
まるで劇的ビフォーアフター(悪い方に) その場で、他のハンカチもアイロンをかけました。
それから2週間ほどで、ハンカチ含め私の衣類は前よりもピンシャキになりました。
シャツ、上着、スーツ、衣替えする薄手のパジャマにまでアイロンをかけましたから。
ほんとに今までもこんなだった?ってくらいシワが気になる。
そんなこんなで、休日は洗濯後の衣類やハンカチにアイロンをかける習慣がつきました。
1枚のハンカチからアイロンがけが習慣化するとは、思いもしませんでした。
何がきっかけになるか分からないものですね。
ガーベラのハンカチは今も一番のお気に入りです。
(竹本)