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大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
日常生活でスタッフが感じたことや、弊社のサービスの紹介をしていきます。

「立田が、今最も関心を持っていること」【第3回】(立田)2012年12月3日 月曜日


【第3回】 
新たな価値提供を目指して 
イノベーティブなアイデア発想ができるリサーチ会社もあっていいんじゃないか!?① 
P&Gのイノベーティブなアイデア開発への取組み
いきなり余談から入りますが・・・
P&Gでは、「ニュー・グロース・ファクトリー」という考え方でイノベーションに取り組んでいるそうです。
ニュー・グロース・ファクトリー」
革新的な製品や事業を連発し、持続的成長を支えるような体系的にイノベーションに取り組む枠組み
(Harvard Business Review
October 2011
●ニュー・グロース・ファクトリーの形成プロセス
・破壊的成長を促すマインドセット行動を教育
・コア事業から切り離された新事業創出グループを立ち上げ、複数事業にまたがるアイデアを開発するとともに、新しい事業機会も追求。また、「ラーニング・ワークス」 と呼ばれる 消費者調査 を行なう専門チームを設立。
・プロセス・マニュアル作成、デモンストレーションプロジェクトの実施
●4種類のイノベーションの定義
1.持続的イノベーション
既存製品の漸進的改善をもたらす。衣料用洗剤の洗浄力をもう少し高めたり、歯磨き粉の味をさらに良くしたりといった類。「よりよい」「より簡単な」「より安い」便益をもたらす。既存顧客のシェアを維持、製品を試そうとする人を増やす上でも重要。
2.転換的持続的イノベーション
既存の製品やサービスのカテゴリーを再編成する。桁違いに業績を改善し、事業を抜本的に変化させ、市場シェア、利益水準、消費者受容度を飛躍的に向上させる。(ex.しわ取りクリーム)
3.破壊的イノベーショ
これまでにないビジネスチャンスを得る。(ex.ファブリーズ)
4.コマーシャルイノベーション
創造的なマーケティング、パッケージ、プロモーションのアプローチによって、既存の製品やサービスを成長させる。
ただし、上記2,3に比べると持続性は限定的。
P&Gでは、全社戦略、事業戦略、そしてイノベーション戦略を明確に定義し、それに合わせて組織も構築しているようですね。その中で、消費者調査をイノベーションの一つの重要なツールとして位置付けているところが参考になります。
■そもそもイノベーションに必要なことって何?
では、イノベーションには何が必要なのでしょうか?
色々書籍を読んでいくにつれ、次の 4つ ではないか、という思いに至りました。
1.現状に異議を唱える姿勢 (を持った人材)
大前提として、既成概念から脱却できること。
2.4つの行動的スキル 質問力/観察力/ネットワーク力/実験力 (を持った人材)
ここには、自ら積極的に様々な分野の人に関わり情報に触れる、様々な分野の現場(製造現場/販売現場/消費・使用現場/くらし現場等)を体験する、プロトタイプが出来れば取り敢えず試してみる、という要素が含まれているようです。そして…
    
日常の中で、情報・体験をストックしておく
    
アイデア開発プロジェクトの中で、イノベーションの肝となる情報へ到達できる
ことが求められてます。
3.認知的スキル 関連付ける思考 (を持った人材)
「アイデアは、アイデアとアイデアの組み合わせでしかない」と言われます。上記2の「①ストックされた情報」、「②アイデア開発段階で到達した情報」、これら情報と情報を“受粉”させることが、イノベーションを可能にするとのこと。
4.上記1~3に関連する能力を養成するための人材育成プログラム
全てのスタートは“人材育成”ですね。そのためには“プログラム”が必要です。
そのプログラムにのっとって育成すれば、程度の差はあれ、誰でもクリエイティビティは必ず高められると言われています。
■リサーチの出番はどこに?
では、リサーチはどこに寄与するのか?
上記の「2.4つの行動的スキル」の中の「質問力/観察力」当たりからリサーチの香りが漂ってきます。
そして、イノベーティブなアイデア発想に繋げるためには、定型化されていない エスノグラフィー的なアプローチ が重宝されるのではないでしょうか。
それは何故? そこら辺は次回に。。。
【第4回】 新たな価値提供を目指して イノベーティブなアイデア発想ができるリサーチ会社もあっていいんじゃないか!?② につづく)
(立田)

立田が、今最も関心を持っていること【第2回】(立田)2012年10月18日 木曜日

【第2回
課題認識②
自社も含めた“守旧派”のリサーチ会社が、お客さまに提供すべき価値とは!?
■リサーチの3つの機能
日産自動車市場調査室の室長 星野朝子さんが、以前仰っておられたリサーチの3つの機能です。

①勝つための「アイデアを発想する」

仮説発見型(アイデア創出型)リサーチ

②勝つ道を探すために「戦略仮説を検証する」


仮説検証型リサーチ


③負けないために「市場実態を把握する」(課題を発見する)


実態把握型(課題発見型)リサーチ

もちろん、現場で行われているリサーチの全てが、上記のどれかにパキッと別れるわけではなく、少しずつ重複していますが、どれをメインテーマとするのかは区分されており、それぞれでリサーチの設計、手法も異なります。
■リサーチ会社の集中戦略の考え方
あくまで一つの切り口ではありますが、守旧派リサーチ会社の生き残り策としては、「この中のどこかにフォーカスを当てて、そこに特化する」という集中戦略の考え方もあるのではないか、と思っています。
もちろん、そこに集中すると決めた以上は、コスト/経験/ノウハウ/知見などのいずれかにおいて、お客様よりも、そして競合他社よりも高い価値を創出できなければなりません。
どこを選ぶかは守旧派リサーチ会社それぞれの“理念”によるので、「正解」はないと思います。
どれを選んだとしても、「競合リサーチ会社が手を出さない」&「お客様に求められている・喜んでいただける」の条件が満たされるのであれば、ビジネスとしての成長性はあると判断できるかと。
■「②仮説検証型リサーチ」でのお客様価値の見直し
あくまで私の経験の中での感覚ではありますが、現在のリサーチ市場の市場規模としては、
③実態把握型(課題発見型)リサーチ>②仮説検証型リサーチ
>①仮説発見型(アイデア創出型)リサーチ 
ではないでしょうか。
「③実態把握型(課題発見型)リサーチ」には、パネルリサーチが含まれるので規模としては大きいと思われます(ちなみにインテージさんの2012年3月期の決算資料によると、SRI/SCIなどのパネル系の売り上げが153億円で、調査事業の約6割を占めるようです)。そういった装置系以外でも、「定点調査」「トラッキング調査」などの名称で盛んに行われています。しかし、これら「③実態把握型(課題発見型)リサーチ」では、装置を持たない守旧派リサーチ会社として差別化を出すのは難しいでしょう。
残りは「②仮説検証型リサーチ」「①仮説発見型(アイデア創出型)リサーチ」。「①仮説発見型(アイデア創出型)リサーチ」はまだ市場として成立していないと思います。となると、現在のところ注目すべきは市場は「②仮説検証型リサーチ」。
この「②仮説検証型リサーチ」の重要性は、今もそして今後も変わらないと思います。しかし、本当の意味でこの「仮説検証型リサーチ」を使いこなすためには、検証すべき仮説が明確でなくてはなりません。本来、仮説構築とは非常にクリエイティブな作業です。リサーチ会社は、まず自分たちの仮説を構築し、お客様とディスカッションをしながら仮説を膨らませる、そういうプロセスに資源を投下できているのでしょうか?
リサーチ会社は、リサーチの専門会社として、下記の3点を遵守したうえで、お客様と議論しながら仮説を構築しなければならないと思います。
  • 普段から特定の業界にとらわれない幅広い情報収集に努め、大きな社会の動きや生活者の動向を把握しておくこと
  • 仮説構築時には、「生活者」を生活背景も含めコンテクストとしてイメージしてみること
  • 企業様が「生活者」を自社の理論で見てしまいそうになった時でも、常に「生活者視点」に立脚すること
こういった活動により、仮説構築段階でお客様に新しい視点をご提供できれば、それは大きな価値になるのではないかと思っています。
なお、これは私個人の思いです。お客様が本当に求めておられるかどうかは不明です。「リサーチ会社にそんなこと求めてないよ!」と言われてしまうかもしれません。引き続きの検証が必要だと思っています。
■「①仮説発見型(アイデア創出型)リサーチ」の可能性
お客様である企業様が競合に勝つためには、新しい発想が必要です。例え、優れた技術(シーズ)をお持ちでも、イノベーティブなアイデアがないとビジネスとしては成功しません。
お客様は、もしかして、ここの悩みが最も大きいのではないでしょうか?(これまた私の勝手な憶測です。。。)
「イノベーティブなアイデア創出」というプロセスに、必ずしも「リサーチ」(ここではコンシューマー・リサーチの意味で使用しています)が必要なわけではないと思います。
ジョブズや日本マクドナルド社長の原田永幸氏のインタビュー記事などを読んでいると、リサーチに対するスタンスは
「③実態把握型(課題発見型)リサーチ」のリサーチがあればいい。
アイデア創出のプロセスに「コンシューマー・リサーチ」は必要ない。
というお立場のように感じます。
ここで少し、話を変えて、元博報堂の高橋宣行さんの「発想ノート」から、一文を引用します。
「考える」とは、けっこうやっかいで単なる思いつきではありません。社会、経済環境、企業、組織、市場、商品、生活者、価値観、暮らしぶりなど、社会的文化的な視点で見続けないと、創造的作業にはなりません。手持ちのささやかな経験や知識、ネットからの情報だけでは導き出せません。
 「考える作業」とは、こうした社会の動きに対抗することで成立し、今やすべての職業がクリエイティブな職業に向かっている、と言われています。
その他の文献なども含めて見てみますと、アイデア創出に必要な要件とは・・・
  • 既成概念をぶち壊す姿勢
  • 幅広い情報の収集・ストック
  • それらの関連付け
であると言われています。
コンシューマー・リサーチで得られる情報というのは、もちろん上記で言う「幅広い情報」を網羅するものではありません。しかし、そのうちの一つであることは間違いなく、その意味では、リサーチがアイデア開発に役立つ可能性もあるはずです。
であるならば、「コンシューマー・リサーチのそういった場面での有効活用」をご提案できれば、リサーチ会社としてこれまでとは違った新たな価値をご提供できるのではないでしょうか。
ジョブズや日本マクドナルドの原田社長にはこれまでそういった活用法を明示できていないだけで、それができれば、彼らもコンシューマー・リサーチを、アイデア創出ツールの選択肢の一つとして取り入れてもらえるのでは?
えらく話がでかくなってしまいましたね(笑)
次回、「イノベーティブなアイデア発想につなげるリサーチ」について考察してみたいと思います。
【第3回】 新たな価値提供を目指して イノベーティブなアイデア発想ができるリサーチ会社もあっていいんじゃないか!? につづく)
(立田)

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