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大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
日常生活でスタッフが感じたことや、弊社のサービスの紹介をしていきます。

「社会的価値」について思うこと(立田)2015年4月1日 水曜日


人生の折り返し地点を超えて、終盤に向かっている年齢がそうさせるのか、最近の社会不安がそうさせるのか、マーケティング・リサーチに携わる中で、「社会的価値」ということを意識するようになってきました。

(とは言え、「何か行動を起こせているか」と問われれば、お恥ずかしながら何もできていないのですが…)

■マーケティングとは、生活者の幸せ・満足といった価値を創造すること

コトラー先生によると、マーケティングとは「価値を創造し、提供し、他の人々と交換することを通じて、個人や組織が必要(ニーズ)とし欲求(ウォンツ)を満たすことを意図する社会的、経営的活動である」と定義されています。一方で、マーケティングの中身は変化しているとし、その変化を次のようにまとめています。
「マーケティング1.0:製品中心主義(Mind)」「マーケティング2.0:消費者志向(Heart)」「マーケティング3.0:価値主導(Spirit)」「マーケティング4.0:自己実現(Self-Actualization)」。
ただ、これらは、あくまで「生活者個人に対する価値創造」と捉えられます。

■ソーシャル・マーケティングという概念

「ソーシャル・マーケティング」というコトバがあります。
コトラー先生は従来のマーケティングの技法を企業だけでなく、政府、博物館といった一般の非営利組織にも応用、拡張していこうとするものであるのに対し、W.レイザーが提唱した「ソーシャル・マーケティング」は、これまでのマーケティング行動に社会対応が欠如していたという反省のもとに、評価判定基準に社会的利益や価値をおこそうとする考え方のようです。4Pを中核とする伝統的なマーケティングに欠けていた社会的責任や社会倫理といった社会的視点を導入したものですね。

■深刻化する社会問題

日本における少子高齢化、人口減少が社会に与える影響はとてつもなく大きいです。
 労働力不足による経済規模の縮小、国の財政不安(年金・医療・介護など福祉諸制度の維持が困難に)、地方都市の消滅(2040年には地方自治体の半数が消滅の恐れに晒されているとの予測が)、無縁社会(コミュニティの希薄化)などが思い浮かびます。加えて、自然との共生問題、更には政治の右傾化なども、私にとっては大きな不安材料です。
 日本が直面しているこのような社会問題は、次世代に大きな傷を残すことになることは間違いないでしょう。
 マーケティング、もしくはマーケティング・リサーチの仕事を通して、少しでもこれらの課題に対処していくことはできないものでしょうか。

■「共通価値(CSV)の創造」という概念  ※Creating Shared Value

マイケル・E・ポーター先生が提唱している概念に「共通価値(CSV)の創造」あります。「顧客のニーズに対応するだけでは不十分だ」という主張で、共通価値(Shared Valuesとは、経済的価値を創造しながら、社会的ニーズに対応することで社会的価値も創造するというアプローチです。
 CSR(Corporate Social
Responsibility
)も有名ですが、社会貢献活動(フィランソロピー)や慈善活動的色彩が強く、企業の事業活動とは直接的な結びつきが希薄と捉えられがちです。
対して、CSVは経営戦略の一つとして、本業に即した形で社会的課題を解決する取組みを行っていくという考え方です。
 ネスレの「ネスプレッソ」(アフリカ・中南米のコーヒー豆栽培農家の経営・技術支援、環境負荷の軽減、自社にとっては上質豆の安定供給)、明治の「チョコレート」(ネスレ同様の価値)、パナソニックの「GOPAN(ゴパン)」(米需要の拡大)などが事例として挙げられることが多いようですね。

 「本業で儲けながら、直接、社会的な価値も生み出せ」ということなのでしょう。

■何ができるか

リサーチ会社である弊社が、経営戦略・事業戦略のお手伝いをすることはなく、ネスレの事例のようなバリューチェーンの構築といったことに携わることはありませんが(今のことろ…)商品・サービスコンセプト作りに関わらせていただくことはあります。
コンセプトは、①ターゲット・インサイト、②機能的価値、③その根拠となる商品属性、④情緒的価値などで記述・定義されることが多いと思いますが、ここに「社会的価値」という項目を必須とする、という考え方はいかがでしょうか。 
 コンセプト作りの段階で、先に述べた社会問題の解決に、少しでも、間接的にでも、何かしら寄与できる要素を埋め込む、そういったことを日々考えることが大事なのかもしれません。
小さな努力の積み上げが求められているのではないでしょうか。

 


(立田)

調査における仮説検証って難しい!?(立田)2014年4月30日 水曜日

1.「仮説思考」という思考法

 書店に行けば、「仮説思考」(内田和成著)という本があります。著者は、「仮説思考」の効用を以下のように整理してくれています。

  • 仕事をこなすスピードが速くなる(意思決定が速くなる)
  • 仕事の質が高くなる(意思決定の質が高くなる)
  • 仮説思考の特徴である「全体像から入って必要な部分のみ細部にこだわる行為」の積み重ねで、物事の全体像をつかむ力が向上する 
何やらこれは、調査の設計や分析段階においても大切そうですね。
2.調査と仮説
さて、調査には大きく3種類があります。①実態把握型調査、②仮説検証型調査、③仮説発見型調査です。以前の連載では、③仮説発見型調査に関連する話題を書かせていただきましたが、今回は②仮説検証型調査に関連する話題と言うことになります。
3.人間の調査仮説の活用の発達段階
「仮説検証型調査」には、もちろん前提として検証すべき「仮説」があるはずです。そして、調査企画の段階で、その仮説があっているかどうかを確認する調査項目を設定します。そして、定量調査、定性調査を実施して調査データ(FACT)を取りに行きます。
でも、意外と「仮説検証」という思考プロセスは難しいなぁ、と感じています。以下、私が20代だったころから感じてきたこと、体験してきたことを振り返ってみたいと思います。
〇第一段階
20代後半だったと思います。仮説検証型のGIをバックルームで見ている最中、もしくは調査のレポート作成時に起こった現象は、「仮説」を肯定しようとする行為でした。
仮説に当てはまる情報のみをピックアップして「やはり仮説通りだった」と結論付けようとしてしまう。悪意があるわけではありません。「仮説」を持つとそれを肯定する情報のみが自然と脳の中に蓄積されてしまうのです。
  
〇第二段階

次に訪れた段階は、調査結果では「仮説」を肯定するデータもあるが、否定するデータもあるという場面に遭遇し、迷いたじろぐ段階。どうしようかと悩んでしまいます。「仮説を肯定するところだけを使ってまとめてしまおうか。そうすれば迷わなくて済む」という悪魔のささやきとのせめぎ合い。
この時に求められるのは、「仮説」を一旦捨てて、再度データを見て「仮説」を再構築することが必要ですね。そういった姿勢で、再度データを見てみる。「仮説」を捨てる勇気を身に付ける段階だと思います。
〇第三段階
「仮説」を持って調査設計をするのですが、GIなどの実査の段階では、既に「仮説」の枠から脳が解放され、自由な姿勢でFACTを眺めることを楽しむ段階。はなから「仮説は仮説。的確な調査項目を洗い出すために必要なものだが、実査が始まってしまえば仮説は一旦忘れてもいい」という感覚ですかね。
若いころ、これらの段階を登って行くのに苦悩した覚えがあります。私の様な凡人は、常に意識しないとできないことかもしれません。
でも、こうやって見てくると、「仮説検証型調査」とは言いますが、実はその実査段階、分析段階において、新たな仮説を発見する「仮説発見型調査」でもあると言えるのではないかと思えてきます。
4.弊社が「仮説構築」に関わる2つのパターン
ちょっと話は変わりますが、弊社が「調査仮説」に関わるパターンとしては、以下の2つのパターンがあります。

①お客さまの頭の中にある仮説をきちんと整理して理解した上で検証する
 お客さまに丁寧にヒアリングをして、お客さまが抱える「マーケティング課題」、そのマーケティング課題の原因となっている「課題仮説」、それに対してどういう施策が考えるのかという「戦略仮説」、そして今回の調査で検証すべき「調査課題」の4つのレイヤーで整理するパターンです。
これは、お客さまが立てた「仮説」を検証することをメインの目的とし、調査設計の段階で新たな「仮説」は求めていない場合に適応されます。
ここで弊社に求められている能力は、お客さまに寄り添って思いを共有し、マーケティングプロセスに当てはめて、きちんと整理できることだと認識しています。
②クリエイティブな仮説をお客さんと一緒に創造し検証する
もう一つは、「仮説」をお客さまと弊社で共に考えて創造するパターン。お客さまが、ご自身で考えられた仮説の枠を超えて新たな気付きを(潜在的にでも)求められている場合に適応されます。
ここで弊社に必要な能力は、弊社なりのクリエイティビティのある仮説構築力です。
いずれのパターンでも、弊社は価値をご提供したいと思っております。すみません、なんか最後は営業チックになってしまいました。お許しください。。。
(立田)

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