大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
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5月20日総務省統計局より「人口推計(5月)」が更新されました。
先日、伊丹市立美術館で開催されていた「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」を見に行きました。
ご存知の方も多いかと思いますが、エドワード・ゴーリーとは、アメリカの絵本作家です。その特徴は「陰鬱でモノクロな線描表現」「不条理で不気味な世界」で、ストーリーも凹むものが大半。「絵本と言いながら、子供には絶対見せてはいけない類の絵本」とも言われています。
私自身はその独特の世界観が好きで、有名どころを何冊か持っていますが、やはり、何となく変な倫理観が働いたのか、息子の絵本読み聞かせ時にはついぞ登場することはありませんでした。
館内で改めて原画などを見るにつれ、完成形に至るまでの妄執的ともいえる描き込み量の多さに圧倒されたのですが、さらに興味深かったのが、奇妙なキャラクターや不気味なストーリーテリングの発想法について問われた際の、ゴーリーの答えでした。
館内に置かれていた資料を立ち読みしての記憶なので、表現は若干違っているかもしれませんが、
“形は不完全であっても、とにかく手を動かして描いていくことで、天啓が下りてくるのを待つ”
“自分は温厚で心優しい人物であるから尚のこと、世の中の不公平や矛盾、残酷な事象を強調したくなる”
的な言葉が印象的でした。
これを見て思い出したのがロアルド・ダールの言葉です。
「チョコレート工場の秘密」「南からきた男」などの作品で有名な彼もまた、キャラクター造形や着想の妙で多くのファンを持つ作家です。
彼もまた小説のアイデア発想について問われた際に、似たような言葉を残しています。
“素晴らしいインスピレーションは、しばしば子供時代の様々な経験から降ってくる”
“魔法はそれを信じる人にしか見えない。…(だから魔法を信じて)書き続けることが重要”
商品・サービスのコモディティ化が問題となって久しく、「イノベーションの必要性」「アイデア発想の重要性」は、現代のマーケティングに携わる人であれば言わずもがな、でありましょう。そしてまた明快な解決法がなく頭を痛めている問題でもあります。現在、様々なシーンで取り入れられている「デザイン思考」による問題解決のフローもまた、その流れから出てきた思考術です。
デザイン思考の基本フローは
「共感→問題定義→創造→プロトタイプ→テストの反復」(by d.school)
ですが、各ステップでの“心構え”“作法”が、実はゴーリーやダールが言っていることと同じなのだということがよく分かります。
普通に考えれば、小説家・絵本作家はストーリーはもちろん、キャラクターや人物設定でその世界を「見える化」させる作業が必要不可欠であり、そこに長けた彼らの創作術こそ、まさにデザイン思考のセオリーに則ったものなのでしょう。
アイデアを発想するツールはそれこそ古典的なモノから、現役のクリエイター諸氏が開発したモノまで有象無象ですが、ツールはあくまでもツール。
がないと、素晴らしいアイデアに繋がるインスピレーションは得られないのだ、ということなのでしょう。
ここ何か月かの間に読んだ本の中で、印象に残った言葉を最後に。
「インスピレーションには偶然の要素が含まれるが、その偶然は心構えのある人にしか訪れない」(by ルイ パスツール)
(山本)