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大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
日常生活でスタッフが感じたことや、弊社のサービスの紹介をしていきます。

感情マーケティング(浜本)2012年2月28日 火曜日

 
先日、大規模な定性調査を担当させて頂く機会があり、勿論リサーチ結果をここでお話しさせて頂くことは守秘義務上できないのですが、過去に社内である文献についてみんなでまとめた結果に類似している点があり、リサーチの経験からその理論の正当性を肌で感じることができました。
アルジュン・チョードリー著の「感情マーケティング」
この文献をまとめることになった経緯としては、

市場のコモディティ化とともに、経験価値創造やブランド構築が企業にとっての重要課題となっている。ところが、経験価値やブランドを追い求める消費者の理解において鍵となる感情問題は、これまでマーケティングにおいてほとんど論じられていなかった。研究の題材とした「感情マーケティング」は、消費者による製品選択や広告メッセージについての処理などにおける感情的動機と理性的動機を記述したものである。
さらに、これらの動機的要因がブランド・ロイヤルティ、市場シェア、高価格マージンなどのマーケティング成果に与える影響を示している。

この文献から得られた知見を要約すると、

様々なマーケティング活動において、「感情(ポジティブな感情)」を高めること=情緒的価値を高めることで、商品に対する「知覚リスク」が軽減したり、コミットメントが高まる。
結果、「プレミアム価格」、高価格でも支払いたいというブランド成果を得ることができる。
マーケティング戦略を策定する際に、「情緒的価値」を高める戦術がインプリケーションされておく必要がある。

以下が、本文で書かれてあった「ブランドの態度形成過程をモデル化(図示)」した内容です。

私が担当させて頂いた調査においても、同様の示唆が得られており、普段の生活を振り返ってみても、、、
例えば、私は「ファション」に関してはとても疎く、夏は涼しく、冬は暖かい、ビジネス上では奇をてらわないといった最低限の基準(機能性)を満たしさえすれば、どんな服でもよいのです。
なので、ファッション(私にとっては単なる衣服)にはお金をかけません。
一方、過去にもこのブログで触れている「通信端末(ケータイ・スマートフォン)」にはお金に糸目をつけません。なぜなら通信端末は、私に日々、様々な情報を昼夜を問わず提供してくれ、疎遠になりかけていた旧友との繋がりの場を提供してくれ、スケジュールの管理までしてくれる。まさに、私にとっては「ドラえもん」に近い存在なのです。ここで得られる価値は情緒に溢れています。
人によっては「服」を「ファッション(自分をよりよく魅せてくれるモノ)」、一方で「通信機器」を「高機能な糸電話(単なる道具)」と、私とは真逆に捉えている方も多く存在しています。
これは、各個人にとって機能的な満足が得られるのか、それとも情緒的な満足が得られたるのかによって、その商品やサービスの見方、扱いそのものが変わってしまうという例です。
商品やサービスを提供する企業の視点では「機能的価値」を高めるコミュニケーションよりは「情緒的価値」が得られるようなコミュニケーションを実施していく必要があるということになります。
だって、同じ商品やサービスでも選択されることが多くなったり、プレミアムな価格でも受け入れられるということに繋がるのだから。
ここから更に思ったことは、これは有形の商品やサービスに限られたことではなくて、「ヒト」そのものにも言えることではないかということです。
「仕事が早い」「正確だ」といった評価を得られることは非常に重要なことだと思うが、「任せて安心」「とにかく頼れる」といった情緒的な側面での評価を得られる人になりたいと思う今日この頃。
だって、この情緒的な側面での評価を得られることで「指名がかかり」「高く買って貰える」のだから(笑)。
(浜本)

20年目を迎えた今、MRI大阪におけるリサーチ“今昔”(山本)2012年1月30日 月曜日

先日、年明け早々に社内の大掃除が行われました。通常は年末にスタッフ全員で行なうのですが、昨年は年末ぎりぎりまでドタバタと業務が進行していたため、えらく時効感を無視した話ですが。ロッカーの整理をしていると、私が入社した当時につけていた業務手帳が数年分出てまいりました。一番最初の年度は1992年、ということは、会社に入ってちょうど20年たつことに、今さらながら気づかされました。
懐かしくずーと見返していたのですが、そこに記されている業務内容はそのまま、ここ10数年のマーケティングリサーチの動向ともリンクしていることに、当然ながら気づかされます。20代でリサーチに携わっている方には、。
199293年】
まさに入社した年です。この時分の業務のほとんどが、当時担当していた某CVSの出店調査でした。毎週どこかで通行量調査と周辺環境調査を実施というルーチン業務です。
そして6月から11月までの長期間にわたる業務も行っています。
これは大阪・京都・兵庫3府県の居住者対象の訪問面接調査です。なぜ5~6カ月もかかっているのかというと、調査対象者のリストを作成するために、各府県に属する市役所・区役所を回って、住民基本台帳から調査対象者を抽出する、というサンプリング2か月近くの期間をかけています。当時は自治体に申請すれば、住民基本台帳を全くの第3者が閲覧することができた時代です。個人情報保護という点でから今では考えられないことですが。。。
そしてそのリストを元に調査員を各地域に派遣して数百sの回収に約1ヶ月、それらの集計、報告書作成に2カ月の期間を設けています。このスピード感も、今では考えられない感じですね。
官公庁などが実施する公の調査では今でもこのような大規模の訪問面接調査は行われていますが、クライアントさんが民間企業である弊社の場合、コスト感・スピード感を考えるとこのような訪問面接を実施する機会はほとんどなくなってきました。
9495年】
この時期には西日本全域を対象とした電話調査を実施しておりました。この場合の対象者の抽出はNTTの電話帳からです。すなわち各地域の電話帳を取り寄せて、そこから系統抽出で対象世帯主の氏名・電話番号を転記していくのです。電話帳がサンプリングの母集団として、まだ信頼できる(というか、それに頼らざるをえない)時代でした。携帯電話が普及し固定電話自体を使わない人が増え、さらに電話帳への掲載率が50%を切っているとも言われる現在では使えない手法です(その代わりに今ではRDDといってランダムに電話番号を抽出する方法が用いられています)。
またこの時期には、モニターを構築してFAXで調査票と回収をやり取りするFAX調査もスタートしております。実査期間の大幅短縮、広告ビジュアル(モノクロになりますが・・・)呈示が可能となり、実査(データの収集)に人的コストがかからない調査手法として重宝しました。ただこの時のモニター数は東阪で各200世帯(×世帯内個人)という規模に留まり、そのサンプルサイズから属性別の分析には難がありました。
9697年】
この時期に初めて今でいうネット調査を実験的に実施しています。ただしまだこの時点ではネット調査会社は出てきておりません。そのためパソコン通信の「フォーラム」の参加者によびかけてアンケートフォームに入力してもらう、というかなり原始的なやり方をトライしました。当時のパソコン通信サービス会社に依頼したのですが、2週間足らずで2000sの回収ができたことに「隔世の感」を感じました。これもネット調査全盛の今では当たり前のことですが。ただ当然ながら回答制御や質問間のジャンプなどの機能があるわけなく、データチェックと整合性の確認にかなりの時間をかけたことを覚えています。
ロッカーの片隅から出てきた手帳はこの年で終わっていました。
今から振り返ると最初の56年間は定量調査の「実査係」として、適切なデータの収集をすることのみに執心し、その後の分析や調査結果からの示唆などに思いをはせることさえありませんでした。現在の弊社の戦略商品である「GI・DI等の定性調査」は別部署が実施していたため、私自身はこの時期、殆ど経験しておりませんでした。
定量データの数値のみ見るだけで、その背後にある生活者のインサイトなど感じることもなく。。。
現在ではリサーチ手法や分析手法もデジタル(IT)環境、コミュニケーション手段の急速な発達により、「ビッグデータ」「ソーシャルメディアリサーチ」「バーチャルエスノ」など、様々な可能性がひろがってきております。
20年前のウブな自分を思い返しつつ、今後の弊社あるいは自分の未来を改めて考えるひと時ともなりました。
(山本)

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