◆自然って素晴らしいですね!
先日、家族で北海道旅行に行ってきました。
テーマは大自然満喫だったのですが、最も印象深かったのが「雲海体験」です。
見て下さい、早朝に山頂から雲海を望むこの絶景!!!
場所は北海道のほぼ中央に位置する「トマム」。冬はスキー場として大盛況なこのエリアですが、夏場はというと、よく言えば大自然、悪く言えばただの山中。実際にバブル期にスキー場として開発され人気を博したものの、宿泊施設の過剰拡大等もあり、夏場の来客が伸びず経営が破綻。しかしその後の再建で、夏場の目玉、この「雲海テラス」が開発されました。
再建を果たした(株)星野リゾートの星野社長の談話が紹介されていましたので、以下抜粋させていただきます。
◆雲海テラス開発秘話
~自社保有のとあるリゾート施設でお客様から「早朝にいただく1杯のコーヒーは格別です、もっと早くからラウンジをオープンしていただけないでしょうか」という要望がありました。こういった定性データは無数の解釈が成立します。このコメントには「ラウンジのオープンを1時間早めよう」という意見が上がった一方、「(お客様の要望の趣旨は“朝の1杯のコーヒーの気持ちよさ”にあるわけだから)見晴らしの良い場所で朝食をとる企画を立ち上げてみては・・・」というユニークな意見も上がってきました。
議論を経て当初は、森のなかに設置したテーブルで自然の景観を楽しみながら軽食をとる「森のテラス」という企画と、ゴンドラで登った山の頂で軽食をとる「山のテラス」という企画が開発されました。しかしその後、最終的には山のテラスが企画として定着するようになります。実はそのロケーションでは早朝に登ると約50%の確率で雲海が見えるという隠しダネがあって、それが大好評だったためです。長年、従事していた当地のスタッフだからこそ実現できた企画です。このようにスタッフ同士の自発的な議論から新商品が開発されました。
【SILC 2007 autumnレポート 顧客満足度を軸としたサービス経営~星野リゾートの事例より抜粋】~
私にとっての驚きは、こんな素晴らしい雲海は当然施設オープン当時からのメインアトラクションだったのだろうと思っていたことです。実態は再生後に開発されたもので、地元の人にとってすれば毎朝かかる「霧」や「もや」程度のモノだったのかもしれません。いかに普段人間が固定概念にとらわれているかということを思い知らされます。
◆リアルSNS?
もう一つ、ここ雲海テラスで面白かったのが「思い出ポストカード」サービスです。
雲海のポストカードを無料でもらえ、その場で感動のメッセージを込めて専用ポストに入れると、全国無料で配達してくれるというサービスです。
何でタダで配れちゃうの?と一瞬思いましたが、そうか、まさにクチコミマーケティング!
私たちがすぐに住所を思い出せる先はたかが知れており、せいぜい実家に送るくらいではありましたが、それでも子供が嬉しそうに今まさに感じている雲海経験をジジババへ綴っておりました。その場の想いをネットを介さずに伝えさせる方法があるんだ!というのも「シェアはSNSで」との固定概念に囚われていた私にとって新しい発見でした。
改めて、アイディア次第で面白い事っていろいろできるんだなと感じた次第です。
◆要は使い方
そして、この雲海テラスの開発の出発点に顧客満足度調査があったという事実も嬉しい発見です。「リサーチは商品開発には使えない」という意見も世にはあります。もちろんリサーチはツールですので、その使い方によっては"使えない”ものにもなり得るでしょう。一方で、生活者を理解した上で、その情報をどう使うか。その活かし方によって、リサーチの可能性は無限に広がると信じています。私たちリサーチャーはその可能性をより具体的に広げていくためのスキルや知識、考え方を深化し続けることが必要だと感じます。
ちょっと仕事の話を挟んでしまいましたが、
北海道では他にも「支笏湖」のとろける絶品ニジマス料理、「美瑛」の絶景パッチワークの丘、「富良野」の異空間ニングルテラス、「小樽」の簡単陶芸体験などなどたくさんの感動経験をしてきました。いいとこですね、北海道。北海道好きの方、今度お会いした際は是非語り合いましょう。
(安部)