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大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
日常生活でスタッフが感じたことや、弊社のサービスの紹介をしていきます。

「霧」が「雲海リゾート」に変身する時(安部)2012年11月26日 月曜日

◆自然って素晴らしいですね!

先日、家族で北海道旅行に行ってきました。
テーマは大自然満喫だったのですが、最も印象深かったのが「雲海体験」です。
見て下さい、早朝に山頂から雲海を望むこの絶景!!!




 

場所は北海道のほぼ中央に位置する「トマム」。冬はスキー場として大盛況なこのエリアですが、夏場はというと、よく言えば大自然、悪く言えばただの山中。実際にバブル期にスキー場として開発され人気を博したものの、宿泊施設の過剰拡大等もあり、夏場の来客が伸びず経営が破綻。しかしその後の再建で、夏場の目玉、この「雲海テラス」が開発されました。

再建を果たした(株)星野リゾートの星野社長の談話が紹介されていましたので、以下抜粋させていただきます。

◆雲海テラス開発秘話

~自社保有のとあるリゾート施設でお客様から「早朝にいただく1杯のコーヒーは格別です、もっと早くからラウンジをオープンしていただけないでしょうか」という要望がありました。こういった定性データは無数の解釈が成立します。このコメントには「ラウンジのオープンを1時間早めよう」という意見が上がった一方、「(お客様の要望の趣旨は“朝の1杯のコーヒーの気持ちよさ”にあるわけだから)見晴らしの良い場所で朝食をとる企画を立ち上げてみては・・・」というユニークな意見も上がってきました。
 議論を経て当初は、森のなかに設置したテーブルで自然の景観を楽しみながら軽食をとる「森のテラス」という企画と、ゴンドラで登った山の頂で軽食をとる「山のテラス」という企画が開発されました。しかしその後、最終的には山のテラスが企画として定着するようになります。実はそのロケーションでは早朝に登ると約50%の確率で雲海が見えるという隠しダネがあって、それが大好評だったためです。長年、従事していた当地のスタッフだからこそ実現できた企画です。このようにスタッフ同士の自発的な議論から新商品が開発されました。

【SILC 2007 autumnレポート 顧客満足度を軸としたサービス経営~星野リゾートの事例より抜粋】~


私にとっての驚きは、こんな素晴らしい雲海は当然施設オープン当時からのメインアトラクションだったのだろうと思っていたことです。実態は再生後に開発されたもので、地元の人にとってすれば毎朝かかる「霧」や「もや」程度のモノだったのかもしれません。いかに普段人間が固定概念にとらわれているかということを思い知らされます。

◆リアルSNS?

もう一つ、ここ雲海テラスで面白かったのが「思い出ポストカード」サービスです。


 

雲海のポストカードを無料でもらえ、その場で感動のメッセージを込めて専用ポストに入れると、全国無料で配達してくれるというサービスです。
何でタダで配れちゃうの?と一瞬思いましたが、そうか、まさにクチコミマーケティング!
私たちがすぐに住所を思い出せる先はたかが知れており、せいぜい実家に送るくらいではありましたが、それでも子供が嬉しそうに今まさに感じている雲海経験をジジババへ綴っておりました。その場の想いをネットを介さずに伝えさせる方法があるんだ!というのも「シェアはSNSで」との固定概念に囚われていた私にとって新しい発見でした。

改めて、アイディア次第で面白い事っていろいろできるんだなと感じた次第です。

◆要は使い方

そして、この雲海テラスの開発の出発点に顧客満足度調査があったという事実も嬉しい発見です。「リサーチは商品開発には使えない」という意見も世にはあります。もちろんリサーチはツールですので、その使い方によっては"使えない”ものにもなり得るでしょう。一方で、生活者を理解した上で、その情報をどう使うか。その活かし方によって、リサーチの可能性は無限に広がると信じています。私たちリサーチャーはその可能性をより具体的に広げていくためのスキルや知識、考え方を深化し続けることが必要だと感じます。

ちょっと仕事の話を挟んでしまいましたが、
北海道では他にも「支笏湖」のとろける絶品ニジマス料理、「美瑛」の絶景パッチワークの丘、「富良野」の異空間ニングルテラス、「小樽」の簡単陶芸体験などなどたくさんの感動経験をしてきました。いいとこですね、北海道。北海道好きの方、今度お会いした際は是非語り合いましょう。

(安部)

本屋の将来はどうなる?(山本)2012年10月29日 月曜日

■電子ブックの本格流通が始まる?

先日、アマゾンが電子ブックKindleストアの日本でのサービス開始ならびにブックリーダー端末の日本発売を発表しました。これまでも大手書店や印刷会社主導の電子ブックストアはありましたが、「世界最大の書籍流通であるアマゾン」ということでまさに「真打登場」といった様相です。どんな書籍がラインナップしているのかちょっと確認するつもりが、端末の魅力的な価格設定とも相成り、ついついリーダー端末の購入ボタンをポチっと・・・・年末からは電子ブックデビューとなりそうです。

 

本屋は衰退の一方なのか?

アマゾンが最大の書籍流通となったころから、既存のリアル店舗とネット流通との関係は「ショールーミング」と称されるようです。店舗では実際の商品の見た目や内容を確認したうえで、購入自体はポイントが付いて価格も安いネットで購入する、つまりリアル店舗はネット通販の「ショールーム」と化している、ということです。さらに商品そのものまでものがデジタル化される書籍に至っては、近い将来はリアル店舗そのものが必要なくなるのでは?という声も決して絵空事ではないと思われます。本屋の利点って何なの?存在価値は?というのを、本屋好きのユーザー視点で考えました。

 

■本屋は知の集合体である(しかも好奇心の刺激はタダ)

これ昨日仕事帰りに寄った本屋で購入した書籍です。

立ち寄った目的は「最新のNumber、買うの忘れてたなぁ、買いに行こ」という軽い感じでした。ところが実際に本屋を出た時にはNumber含め6点を買っていました。ジャンルもサブカル、小説、ビジネス指南、マンガ、ノンフィクションルポと、最新刊から1年前の発行のものまで、見事にバラバラ。

 

これこそが本屋の最大の良さだと思います。当たり前ですが本屋にはジャンル別に様々なコーナーがあります。文芸、社会・経済、経営・ビジネスから、理工・法律などの専門性の高いものまで。古今東西の知識・知恵・思想・経験が、下世話なものから高尚なものまで、手を伸ばせば届くところに集まっており、実物を見て好奇心が刺激されればすぐに新たなジャンルに足を踏み入ることができる。

 

この刺激はネットの世界ではなかなか実現できません。よくあるネットのリコメンド機能はあくまでも購買履歴や索引履歴をもとにしたものなので、例えば今回の私のように、Number→いがらしみきおのマンガ→吉田豪のインタビュー集→新進気鋭作家のミステリー、といった連鎖が一度には起こりえないでしょう。知的好奇心の刺激から新たな世界を(店内をたった10数分ぶらつくことで)覗くことができるのが、リアル書店の最大のメリットだと思います。

 

「好奇心が刺激されたらその場で買わずに、帰ってからネット購入すればいいじゃないか」と思うかもしれません。でも人間、ふっとした機会に芽生えた新たな好奇心がそんなに継続することはありません。うちに帰って改めてネットで購入しようとまで思えるものは、たぶん潜在的に興味があったものなんだと思います。それまで全く興味のなかったジャンルや人物のふと気になったタイトルや装幀に惹かれて、新しい世界に足を踏み入ることができるのは、やはり本屋でしか体験できないことだと思うのです。

 

■日本人の読書総量低下の方が大問題

総務省の家計調査の最新データによると、1世帯あたりの書籍・雑誌等の購入額は1万3千円/年、だそうです。月間ではなく年間です。ひと月に1000円強しか本にお金を使っていないということになります。個人的にはこの数字に驚愕の思いです。ネット及び携帯に費やす時間・コストがそのまま反映されているのでしょうか。

 

確かに専門的な知識も含めてあらゆる情報は、今やネットでググれば簡単に手に入れることができます。でもやはりネットの情報だけでは手に入れられない、身体に染み込まない「知の連鎖」はあるはずだと思います。

 

そんな中、「クラウドで本棚いらず」だとか、「雑誌の自動配信がユーザーを拡大する」といった戦術・方法論は些末なことに感じます。確実に失われつつある読書習慣(あるいは文化といってもいいかもしれません)を取り戻すための抜本的な戦略に、出版社、流通(もちろん書き手も)が一体となって取り組まないと日本の社会自体が恐ろしく知的貧困化するのでは、と子どものころから活字中毒だった私は危惧しております。

 

(山本)

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