大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
日常生活でスタッフが感じたことや、弊社のサービスの紹介をしていきます。
一般的に「定性調査」のメリットとして、「生声に触れられる/リアリティがある」、「ある意見・行動の前後関係が分かり、ストーリーとして理解できる」、「現場でクライアントと感覚・情報が共有できる」などがある。どれも大切な要素だと思うのだが、何といっても「定性調査」の醍醐味は「構造化」ではないかと思う。
定性調査の大御所である梅澤伸嘉氏がある著書で「発言録や発言を単に調査課題に沿って分類整理しただけでは、『分析』したとは言えません。分析とは、発言内容や表情態度などから解釈された情報(要素)を細かく切り刻んで分け、各要素間の関係を論理的に(何らかの既成概念に当てはめるのではなく)発見することです。そして、調査課題に照らし、発見した関係に基づいて情報を構造化することです」と述べている。
まさしくその通り!
「ある対象者がこう言っていました」「こういった意見が多かったです」だけで結論付けると、決まって「それは数人の意見でしょ。それで判断していいの?」と反論される。
しかし、15人前後のインタビューをすれば、実は生活者の意識の「構造」が見えてくる。経験則ではあるが、これがかなりその時点における普遍的構造を言い当てることができるのではないかと感じている。
「ある対象者がこう言っていたから」ではなく、「このマーケットにおけるユーザーの意識構造を踏まえると、こう判断できる」と言うと、説得力が高まるのである。
では、「構造化」とは何か?何をどうすれば「構造化」したといえるのだろうか?
これが実に難しい。端的に言い当てた「解」にたどり着けていないのが実情である。
そんな中ではあるが、この機会におぼろげながら感じていることをまとめてみたい。
定性調査の報告書で、対象者を何らかの基準でグループ分けして、グループごとの特性をまとめるパターンがある。人によって反応が異なる要因を言い当てて、「マーケットの構造」をみようとするもので、これも一つの「構造化」だろう。
ただ最近個人的には、人を分ける(セグメンテーションする)ところから入るのではなく、マーケット全体を俯瞰する何らかの「構造」を明らかにするのが定性調査の醍醐味ではないかと感じている。
その一つが「価値構造」であり、もう一つが「ブランド選択構造」ではないのか?というのが今の見解である。
「価値構造」とは、生活者が当該カテゴリーに求めている「欲求の構造」と捉えている。一人一人の個別の欲求を並列するのに留まらず、全員の様々な欲求の中から本質的欲求を言い当て、マーケット全体の俯瞰図を作るイメージである。
「価値構造」といえば、「機能的価値」「情緒的価値」「生活価値」「社会価値」などの階層を思うかべるが、どうもこの手法のみではなさそうである。該当するカテゴリーの種類や、そのカテゴリーの成熟度によって、様々な「切り口」が存在していそうなのである。
そのレイヤーの切り出しが非常にクリエイティブで難しい!
「ブランド選択構造」とは、一つ一つの個別のブランド評価をまとめるのに留まらず、先のマーケット全体を俯瞰する本質的「価値構造」をベースとして、各ブランドが生活者からどの価値に対応しているブランドとして認識されているか、を整理する行為である。
味噌なのが、単に思い付きの2軸を取り出してポジショニングマップを作る、ということではなく、マーケットを俯瞰する「価値構造」と紐づけてブランド認識を捉え直すという点。
定性調査の分析において、この二つの「構造」を明らかにするステップを行うか、行わないかによって、findingsの幅が大きく異なるように思う。
ただ、これが定性調査における構造化の「解」とも思えていない。今後も探求していきたいテーマである。
(立田)
「100億円あげちゃう」と、刺激的なキャンペーンコピーを引っ提げて、 史上まれにみるスピードで、認知・利用者獲得を達成したPayPay。
出展元:https://toyamatome.com/paypay-campaign/
政府が推進するキャッシュレス促進施策にうまく重ねてきたところもありますね。
PayPayの契約には、スマホの利用とクレジットカード登録が必要なので、
契約対象となるのは国内で最大5000万人くらいでしょうか?
100億円を5000万人で分け合うと、単純平均で200円。
実際には、最小0円から、最大50,000円(50,500円かも?)まででした。 わたしは、入会特典の500円と、たばこ購入還元分(20%)の300円、
計800円のおトクでした。
さて、この狂想的ともいえる盛り上がりのさなか、ふと思い立ったことがあります。
それは、わたしが手にした「800円」は、正確には、
800円「相当」の「購入時充当権利」であると言うこと。
もちろん、PayPay利用可能店舗であれば、800円の商品を現金を使うことなく
購入できるので、800円を手にしたのと同義と言えば同義なのですが、何かが違う。
「利用可能店舗でしか使えない」、という事もありますが、当初のローソンだけでなくファミマも
使えるようになったりして、日常的に通っている店が対象店舗であり、かつ、これから拡がりを
みせるだろうから、そこはさして問題とは捉えていません。
では、何かと言うと、「その権利を有していることが目に見えないこと」です。
お札や硬貨、あるいはクーポン券や金券などの「物体」であれば、忘れていても、財布を
開いた際に、「視覚的」に思い起こせます。
しかし、この手の購入時充当権利は、能動的にアプリを開かないと確認できない、
下手すると存在を忘れてしまう、つまりは、持っていないのと同義になるのではないかと。
ちゃんと覚えとけばいいやん、と言われればそれまでです。確かにそうなんです。
ただ、半世紀も生きてくると脳の劣化も著しい。
さらに、言い訳を1つさせて頂くと、人生の半分以上をパソコンや携帯・スマホに囲まれて、
ある種、支えてもらって生きてくると、脳が自分で記憶することをサボるようになっています。
パソコンたちが、わたしの外部記憶媒体を担ってくれている間に、内部記憶媒体である脳が
劣化してしまっています。
10ケタの電話番号、8ケタの誕生日や記念日、たった1週間前後のスケジュール、
どれもこれも、自力で覚えていたものが、いまやすっかり覚えられなくなっています。
と言うか、覚える意欲すら持ち合わせていないです。
家を建てて3年近くたちますが、いまだに7ケタの郵便番号が覚束ないです。
入社して1年3か月経ちますが、いまだに会社の電話番号が覚束ないです。
そんな弱りきった脳に、この手の「目に見えない権利」は非常にアブナイのではないかと、
そう思い立った今日この頃です。
そこで、善(?)は急げとばかりに、思いつく範囲で目に見えない権利を捜索してみました。
JAL・ANAのマイル、TSUTAYA・Tポイント、ジャパンネット銀行の入会時クーポン、
楽天ポイント、nanakoポイント、amazonポイント、ICOCA・PITAPAの残高、セゾンの
永久不滅ポイント、電子書籍のReader Storeの残高、LINE pay、果てはビットコインの端数。
そういや、メルカリの売り上げ残高とかもあったなあ。
どれもこれも物品・サービス購入に充当できる立派な電子マネーです。
これらを積み上げたら、なんと、総額、98,725円相当!!(2018年12月時点換算)
財布に入っていたら、目に見えていたけど、見えなくなっていて忘れつつあった財産です。
しかも、これで全部だと言う自信がまったくもてない。
これは、非常にアブナイ。
記憶をパソコンやスマホに頼りきった50overのわたしには、非常にアブナイ。
まずは、これらを紙に書き出して、いつもで読める状態にしようと思います。
デジタル化がどんどん進んでいるのに、なんとアナログな・・・。
で、結論なんですが、
『だから、デジタル化やキャッシュレス、電子マネーはいかん!』
と言いたいわけでは決してなく、逆に、この手の進化は個人的にものすごくwelcomeです。
ただ、これら目に見えないものを一元管理できるツールが欲しい。
いちいち、それぞれのサイトに、ID/PWでアクセスして確認するのではなく、まるでわたしの
財布のように「そのサイトさえ見れば、すべてが一覧できる」ような「見える化」ツールが欲しい。
※ついでに言うと、相互交換できるようにしてほしい(顧客囲い込みの観点でたぶん無理でしょうけど)
そうやって、ちゃんと自分でコントロールできるようにしてほしいです。
そうしないと、管理しきれない目に見えない不安で押しつぶされそうです。
これから、ますますAI・IoTがわれわれのくらしを支えてくれます。
自分が指示しなくとも、家電や調理、窓の開閉やお風呂が、わたしの意(であるはずのこと)を汲んで、先回りして、せっせと働いてくれるようになります。欲しかった(はずの)ものが、頼んでもいないのに届くようになります。そんな世の中があっという間に広がります。
出展元:http://okinawa.io/blog/tech/trend2016
そうなると、そもそも、自分が何をしたかったのか、何を欲しかったのかも見失いそうです。
決して不快ではないものの、なんだか自分の人生の主役でなくなっているような、不思議な感じになりそうです。
やはり、自分の人生の主役は自分でありたい。
目に見えない働きをコントロールしておきたい、そんなことを考えていました。
平成になってから生まれたサービスばかりなので、平成のうちに何とかしておいてほしい、
そんな平成最後の年の瀬でした。
出展元:http://urx2.nu/OOlA
(石倉)
スタッフ