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大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
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AIとヒューマンワーク(山本)2023年4月27日 木曜日

ここ最近、ChatGPTの一般公開・活用によるワーク環境の革新性(と脅威)が取り沙汰されています。
ChatGPTの活用拡大によって、ビジネスにおける多くの領域の効率化・リッチ化が図れるとともに、データの安全性・信憑性・倫理性が担保できないことから、利用制限や開発自体のペンディングを求める声も少なくありません。

ネット環境の一般化・技術向上により、ルーティンワークの大部分がChatGPTに代表されるAI技術に取って代わる事になるとは、元々言われてきたことです。ここ10数年の間でみても、コールセンターや各種の窓口業務の一部はすでにITで自動化されたシステムで処理されています。

私が「AIでは対応できない、すなわちこれからのビジネスパーソンとして生き残るための必須能力」として考えていたのは以下の4つでした。

①「課題設定力」
膨大なデータバンクに対して、そもそも解決すべき事柄が何なのかを設定、指示する能力

 

②「アイデア創出力」
事業、商品はもちろん、人間の営み全てにおけるアップデートを「アイデア」とした場合、その創出において人間の持つ創造性・情緒的な感性が必要とされる、その能力

 

③「編集力」
得られた有象無象のデータを取捨選択して、それぞれを有機的に結びつけることで、情報の受動者にその内容を過不足なく、伝わりやすい形式(ストーリー化、起承転結・・・)でまとめ上げる能力

 

④「判断・決断力」
まとめ上げられたデータを元に、その時々の環境に応じて、ビジネス的な判断を下す能力

当然ながらAIの技術革新のスピード・精度アップは想像以上であり、上記に掲げた4つの能力のうち、「アイデア創出力」「編集力」については、すでにAIを用いることである程度は代替できるようになっているのでは、と思います。

「アイデア創出力」の分野においては、人間の感性や創造力がモノを言う分野であり、AIでは対応できないものとされていました。
ただ昨今は各シンクタンク、エージェンシーでAIを用いたアイデア創出ソフトを活用していると聞いております。
そもそもアイデアが全くのゼロから生み出されるのであればともかく、実際にはジェームズ・ヤングが唱えるところの「アイデアとは既出の要素の新しい組合せである」という事であれば、それこそAIによって、様々な事象を意味性のあるつながり・組合せにして、それらを無限に生成することができます。

また編集能力についても、いまではChatGPTにお題を放り込むだけで、ストーリー性を担保したアウトプットが出来上がります。
これまでのように、データを集めて自分でストーリーを作らなくても、ある程度のアウトプットは瞬時に出来上がります。
小学生は夏休みに課題書を読まなくても、独自のワードを入れることで、読書感想文を簡単に作れるということです。

上記を例えるなら、これまでは富士山登山に麓からあくせく歩いていたのを、5合目までのベースはショートカットして車で上ることが可能になった、ということになります。もちろん山頂までのゴールは自らの足で到達する(人間としての感性)ということだと思います。

となると、ビジネスパーソンが対AIとして自らのヒューマンとしてのアイデンティティを発揮できるのは、「課題設定力」「判断・決断力」、つまりビジネス上のワークフローにおいて、入口と出口に該当するステップではないか。
この2つに共通しているのは、人間の経験に基づく洞察や知見、感情・感性が欠かせないということです。
何をインプットするか、アウトプットとして出てきた結果についてどう判断するか。
この感覚のアップデートと経験の積み重ねが肝要であり、それらは仕事上で与えられるものだけではなく、生きるうえでの様々なシーンで自らに課していくことが必要ですね。

今後さらにディープラーニングが多層的に進化して、「課題設定力」「判断・決断力」領域までも対応可能という時代が来るとすれば、それこそ人間がAIに使われる世界の到来、ということになります。
P・K・ディックが「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」で50年前に問題提起していたように、「ヒューマンアイデンティティ喪失・再生」という既存の倫理・概念を覆す新たなステージですね。
そんな時代にどう生きていくのか、はそれこそ想像もつかない世界です。

(山本)

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